ぽかぽか

起業のコツ、投資の考え方、FIRE生活

軽減税率で税金が安くなる! と喜んでいるあなたへ ・・・勘違いしてるだけです

軽減税率で自分の払う税金が安くなると喜んでいるあなたへ。

はっきり言って勘違いしているだけです。軽減税率が導入されても、あなたには恐らく何の得もありません。というか場合によっては、逆に損になります。

軽減税率はあなたにとって得にならないだけでなく、様々なデメリットがあり、社会全体の生産性が低下します。それは、いずれ再度の増税圧力になって返ってくるでしょう。

このままいくと、この最悪の税制が導入されかねません。軽減税率は一旦導入されてしまうと、撤回するのがとても難しい制度です。

軽減税率制度で自分が得すると思っているあなたは、一刻も早く目を覚ますべきです。この制度の無意味さ、バカさ加減に今すぐ気付いて下さい。

(※正直、軽減税率で自分が得すると思っているあなたは、政治家・官僚から衆愚としてバカにされていると思います。)

なぜ軽減税率があなたの得にならないのか

以下、分かり易くするため数値を単純化して説明します。例えば、もし私たち全員が1ヶ月の出費のうち半分を「食品」に、残りの半分を「その他」商品に使っているとします。

ここで「食品:8%、その他:10%」の複数税率(軽減税率)が導入されたとします。その時の出費と消費税率は以下の図のようになります。



f:id:cocoopit_2:20150912175617j:plain


例えば出費総額が20万円の人の場合、「食品」10万円に対して8%、「その他」10万円に対して10%の消費税がかかるので、総額で1万8千円の消費税を支払うことになります。


つまりこれは、20万円を出費して1万8千円消費税を払うわけですから、平均すると9%の消費税を支払っていることになるわけです。

 ここで「え、待てよ」と気づきませんか?・・・・・そうです。

それなら「食品:8% その他:10% 」という、ややこしい複数税率じゃなくで、「全部商品 9%」の単一税率にすれば良いではないか!

ということです。これは、気づいてみればごく当たり前の話です。図解すると以下のような感じになります。

f:id:cocoopit_2:20150914181831j:plain

 軽減税率は後で説明するように「社会全体のコスト増加(税金計算がややこしい等)」「利権の温床の発生」等、デメリットは甚大です。単一税率の9%にしておけば、そんなデメリット一切ありません。 


税金は皆で払って皆で使うものですから(税の無駄遣いは別の話)、全員の食品に対する税率が等しく下がるのであれば(あなたの買う食品だけ税率が下がるのではない!)、始めっから9%の単一税率で税金を集めておけばよい話です。

仮に今回の増税で国民の負担を少しでも減らしたいというのであれば、「食品8%、その他10%」の軽減税率導入を主張するのではなく「8→10%の増税は止めて、8%→9%の増税にしろ!」と主張すべきです。であれば、複数税率化のデメリットはありません。

では、なぜ巨大なデメリットのある軽減税率の導入(複数税率化)をわざわざ主張する人がいるのか?(偽善者の公明党さんとか)

 

それは「低所得者対策」です。つまり生活必需品などに限って軽減税率を設ければ「低所得者の税金を相対的に高所得者より安くすることができる」という主張です。

「あー、俺どっちかっていうと低所得者だし。俺にとっては得だね。」

と、ここであなたは言っているかもしれません。昨年(2014年)の世論調査でも、7割以上の人が軽減税率賛成と答えたそうです。たぶんこの7割の人のほとんどが、「食品の税率が下がったら得する」側に自分はいると思っているんでしょう。

本当ですか? 本当にあなたは得する側にいるんでしょうか?

本当に低所得者にとって軽減税率(複数税率)は得になるのか?


結論から言いますと、これを読んでいるあなたは恐らく何の得にもならないでしょう。  あなたが仮に生活保護レベルの低所得者の方なら、ほんの少しは得になるかもしれませんが、それでも今から説明するように、月々数十円とか数百円とかいったバカバカしい金額にしかなりません。


分かりやすくするために、極端な例を出します。例えば3人(低所得者・中所得者・高所得者)が以下のように出費しているとします。

  • 低所得者Aさん  食品:100%  (毎月の出費が全部ご飯)
  • 中所得者Bさん   食品: 50% その他: 50%
  • 高所得者Cさん  その他:100% (毎月の出費全額食品以外) 


低所得者のAさんは、超貧乏なのでご飯以外にお金を1円もかけることができません。つまり出費の100%を食品に使っています。一方、超高所得者のCさんは、フェラーリとかグッチの鞄とかかばっかり買っていて、1円も食費にお金をかけていません。出費の100%を食品以外の商品に使っています。(そんなことあり得ませんが「例えば」です)

そうすると、各人の出費総額に対する消費税率は以下の通りとなります。

  • 低所得者Aさん 8%。(食品だけ買っている)
  • 中所得者Bさん  9% (食品と食品以外を50%ずつ買っている)
  • 高所得者Cさん 10% (食品以外だけ買っている)


確かに低所得者Aさんの税率は8%となり、単一税率の場合の9%と比べて1%低くなります。これは、Aさんが本来であれば支払うはずであった税金のうち1%分をCさんに肩代わりさせているということです。この「税金の肩代わり」こそが軽減税率に期待されている「低所得者対策」の機能なのです。

f:id:cocoopit_2:20150916113949j:plain


「おー、1%減るってそこそこデカイじゃん!」とあなたは思うかもしれません。「俺、毎月10万円で生活してるんだよ。1%なら、1000円得するじゃん。1000円で何食食えると思ってんだ、お前!」とか言ってるかもしれません。 

 
でも、あなたは実際には出費の全額を食品に使ってなんかいませんよね。あなたは毎月の出費のうちどの程度の割合を食品に使っているでしょう?  ここで、「エンゲル係数」(出費のうち食費の占める割合)が問題になってきます。低所得者の人は食費以外にお金を掛けられないので、「エンゲル係数」は低所得者ほど数値が高いと一般にいわれています。

エンゲル係数の差が大きければ大きいほど、低所得者の税金を高所得者が肩代わりする率が大きくなります。上記の例では、低所得者Aさんと高所得者Cさんのエンゲル係数をそれぞれ「100%と0%(その差100%)」と設定し、最大でどの程度「税金の肩代わり」が起こるかを見たものだったわけです。

 
では、実際には高所得者低所得者とどのぐらいの差があるんでしょうか?以下の表は、所得階層別のエンゲル係数を示したものです(出展:平成25年総務省統計局 家計調査)。 

f:id:cocoopit_2:20150912172903j:plain

驚きませんか?そうなんです。低所得者高所得者もそんなに大きな差がないんです。

この表の分類で、一番低所得者層(年収184万円以下)の人と一番高所得者層(946万円以上)の人を比べると、エンゲル係数の差はわずか6%程度です。この現状で、軽減税率を導入すると低所得者層の人たちはいったいどの程度負担が軽くなるんでしょう?

例えば一家4人、月20万円の出費で生活している家族があったとします。この一家が一番高所得者層の人達(年収946万円以上)と比べてどのぐらい税金が安くなるのか?

20万円のうちの6%が差がつく部分です。つまり12,000円。この12,000円分の出費分に対する消費税が軽減税率を導入しない場合と比べて1%分安くなるわけです。つまり120円(12,000円x1%)です。

一家族あたり120円@月の負担減?


そうなんです。この家族の負担減はひと月あたりわずか120円にしかなりません。一家4人ですので、一人頭にすると30円です。

  1人あたり30円@月の負担減?


どうですか?バカバカしくありませんか?低所得者1人につき、たった30円分の税金を安くするために、デメリットばかりの軽減税率を本当にやるんですか?正気の沙汰ですか? こんなこと主張している公明党さんって、バカいや、気は確かなんでしょうか?

軽減税率の導入で、あなたは他人の税金を肩代わりさせられるかも。


繰り返しになりますが、これは「生活保護レベル」の低所得者の場合の話です。このブログを読みに来ているあなたは、多分平均からそう大きく離れていない消費形態をとっているはずです。生活保護レベルの人ですら、たった30円のお得にしかなりません。普通に生活しているあなたの場合は、軽減税率を導入したところで、ほとんどの何の得にもなりません。それどころか逆に損になる、すなわち他の人の税負担を肩代わりする側に回る可能性もかなり大きいでしょう。

軽減税率賛成の方の中は、
軽減税率によって自分の負担が増えるにも関わらず、減ると勘違い!している人がかなり多く含まれていると思われます。


f:id:cocoopit_2:20150916114753j:plain

 確かに消費税が上がっていくなら低所得者対策は必要です。生活が苦しくなるのは確かです。でも、その対策は例えば以前民主党等の主張していた「給付付き税額控除」、つまりダイレクトに低所得者の方にお金を支給する方法でやればいいんです。

そうすれば、30円@一人 みたいなバカバカしいお金じゃなくで、5千円とか1万円とかまとまったお金をお渡しすることも可能です。
 

(※当初低所得者高所得者と比べて、その差2%分、一人頭60円の負担移転の例として説明していましたが、本来は単一税率(中所得者)の場合と比べるべきなので、上記に書き直しました。2015年9月17日) 

お金持ちなのに税金が安くなる人もいる軽減税率

さらには、上記エンゲル係数の表はあくまで各所得階層の平均値です。

お金持ちの中には、毎日のように高級ワイン飲んで、キャビア食べてる人も実際にいます。つまりエンゲル係数が高い高所得者もいるということです。また、小説家や弁護士を目指し、食費は極限まで切り詰めて本ばかり買っているエンゲル係数の低い低所得者の方もいるかもしれません。

この場合、お金持ちの人のほうが貧乏な人よりも税率が安くなるという事態が発生してしまいます。お金持ちの税金を貧乏人が肩代わりして支払うことになるわけで、これってなんのための軽減税率なの?バカじゃないの?という話です。


まあ、いかに軽減税率が無意味でバカなものかというのは、これで大体わかって頂けるのではないでしょうか?もちろん、上記は話を分かりやすくするために数値を単純化しています。「8%と10%の複数税率で考えてるからだろ! 0%と10%にしたら違うだろ!」と突っ込んで悦に入っている人もいるかもしれません。でも「0%と10%」にしたところで、それほど大した金額にはなりません。ウソだと思うならご自分で計算してみてください。

「軽減税率で低所得者対策を!」等と主張している人達は、とんでもない食わせ物でなんです。軽減税率を主張している政治家さんは、恐らく
大衆の無知を利用して「弱者の味方」を装っていらっしゃる
のでしょう。つまり「得する」と思っているあなたのことを衆愚とバカにして、こんな税制を主張しているということです。人気取りのために。庶民の敵、社会の敵ですね。

ここで、さらに問題なのは軽減税率が社会全体にもたらす弊害、デメリットのの大きさです。あまりのバカバカしさに疲れてきたので、それについては後日書きます。

あと、この話をするとすぐに「ヨーロッパでは・・・」とか「ドイツでは・・・」とか突っ込んで、これまた悦に入る人がでてくるのですが、それについてもまた後日書きます。