科学的な見地から本当に健康に良いことが証明されている食品とはどのようなかを分かりやすく紹介している。多くの情報が氾濫する中、信頼できる情報を見極めるのは一般の人間にとって簡単ではないが、本書は良い指針となると思われる(数時間で読める内容)。特に糖質制限を実践している人にとっては、大事なことが書かれている。
本書で言う「健康に良い食品」とは、脳卒中、心筋梗塞、がん、糖尿病などを発症するリスクを下げる食品のことを指す。逆に「健康に悪い食品」はそうしたリスクを高める食品のことを意味する。
以下は単なる個人的備忘のための要約。本書内ではエビデンスの紹介(エビデンスの強弱も示されている)も含めて解説 がされているので、興味のある人は読まれることを強くお勧めします。
▼健康に良いと科学的に証明されている食品
- 魚
- 野菜と果物(果実ジュース、じゃがいもは含まない)
- 茶色い炭水化物(玄米、蕎麦、全粒粉のパン)
- オリーブオイル
- ナッツ類
▼健康によい可能性が示唆されている食品
- ダークチョコレート(砂糖入りは不可)
- コーヒー
- 納豆
- ヨーグルト
- 酢
- 豆乳
- お茶
▼健康に悪いと科学的に証明されている食品
- 赤い肉(牛肉、豚肉のこと。鶏肉は含まない。ハム、ソーセージなど加工肉は特に悪い)
- 白い淡水化物(白米、うどん、パスタ、白いパン、じゃがいも、ラーメン)
- バターなどの飽和脂肪酸
▼健康に悪い可能性が示唆されている食品
- マヨネーズ
- マーガリン
▼糖質制限、炭水化物について
- 炭水化物の全てが悪いのではない。「健康に良い炭水化物(茶色い炭水化物)」と「健康に悪い炭水化物(白い炭水化物)」がある。前者は積極的に摂取すべき、後者は摂取すべきではない。
- 「茶色い炭水化物」は食物繊維が多く、「白い炭水化物」は少ない。極限まで食物繊維を減らしたものが砂糖などの糖。白い炭水化物は砂糖に近く、体内で糖になるので本質的に砂糖と同じ。
- 糖質のかわりに肉はいくらでも食べて良いと主張する医者のアドバイスは聞くべきではない。明らかに間違っている。(牛肉、豚肉、加工肉は摂取すべきでない)
- 白米は食べれば食べるほど糖尿病のリスクが高まる。白米は全く食べないのが理想。(ただし、ガンのリスクと白米は無関係)
▼その他
- 日本食が健康に良いというのは誤ったイメージ。塩分、糖質が多い点で健康に良くない。健康に良い食品と言えるのは「地中海食」
- 塩分摂取量は減らすべき。血圧を上げ、脳卒中、心筋梗塞のリスクを高める。
- ハム、ソーセージ、ベーコンなど加工肉は非常に悪い。大腸がん、脳卒中、心筋梗塞のリスクを上げる。
- 卵は1日6個までとする。(糖尿病、心不全のリスクが上がる)
- 大人は乳製品は控えめにすること。過剰摂取は前立腺がん、卵巣がんのリスクが高まる。
- 果実ジュースは糖尿病のリスクを上げる。果物事体を食べることはリスクを下げる。健康の観点から両者は全く異なる。
- 野菜ジュースについては、明確な研究はないが果実ジュースと同様と考えられるので、ジュースではなく野菜そのものを食べるべき。
▼疑問点
本書では、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病のリスクを下げる食品を良い食品としているようである。確かにこれらの疾病は日本人の死亡原因の半数を占めている。糖尿病に関しては、認知症や心筋梗塞などのリスクを高める非常に怖い病気である。一方で、これらに該当しない病気については、本書の範囲内では無視されているのかもしれない。